「中国の男は弱く、女々しくなりすぎた! マッチョになるための体育教育を導入する!」
[size=1.2]2/28(日) 14:00配信 [size=1.2][url=]116[/url]
クーリエ・ジャポン
[size=1.2]中国では体育教育が強化されることになった Photo: Guang Niu / Getty Images
2021年1月、中国政府は、女々しくなった男子を鍛え、男らしさを身に付けさせるために、小中学校の体育教育を強化すると発表した。中国内では同案に対する強い批判が起きる一方で、「男らしさ」を取り戻すための施策が進んでいるという。【画像】「マッチョになるための体育教育を導入する!」習近平の恐るべき野望
中国男子は「男らしく」ない
英メディア「BBC」によると、中国の教育省は2021年1月、「女々しくなった」若い男性を「男らしく」するため、体育教育を強化すると発表した。そして、そのために体育教師の採用方法も大幅に変更し、スポーツのインストラクターなどを採用するという。中国政府高官はかねてから、一人っ子政策の下で生まれ、甘やかされてきた中国の男性から伝統的な「男らしさ」が失われ、若い男性のロールモデルがもはや軍にいるような「強い」男ではないことに懸念を示してきた。今回発表された計画は「若い男性の女性化防止案」と呼ばれ、その発表が中国内で大きな波紋を呼んでいる。同案に対して肯定的な反応を示す者もわずかにいたが、ソーシャルメディア上では、性別差別主義的などという批判が高まった。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、同案では学校内で男らしさを学ぶ機会を増やすため、多くの男性体育教員を採用することを目指しているという。本案は、2020年5月の中国共産党幹部の斯澤夫の発言に対応するものだ。斯は、現代の青少年は「弱く、劣り、臆病」になったと発言し、その理由として、幼稚園や小学校の教員が女性ばかりであること、「可愛らしい」男性をもてはやすポップカルチャーが人気なこと、過保護な母親や祖母に育てられることを挙げた。さらに、女々しくなった青少年が戦地での英雄を目指さないことを嘆き、そのような傾向が中国を危険に晒すと警鐘を鳴らした。なお、現在中国で人気の男性ポップスターは、「小鮮肉」と呼ばれ、K-Popスターのように清潔で美しく、デリケートさを併せ持つ若い男性アイドルだ。女性が男性に従うことが求められてきた一昔前の中国で女性に人気だったのは、短髪で筋肉質、寡黙な硬派の男性だったという。
身体能力と男らしさの強化
英誌「エコノミスト」は、体育教育強化施策の背景には、中国の子供たちの健康が損なわれていることがあるという。2017年、広州の子供たちで「良好な」健康状態にあるのはわずか2.6%で、半分が近視を抱えていた。また、現在中国の子供の5人に1人は肥満状態にあり、1995年の20人に1人から大幅に増加している。中国の教育は試験中心で、良い高校・大学に入るために子供たちは必死に勉強し、運動する時間は限られる。子供たちにもっと運動をするよう促すため、近年、体育教育の強化が叫ばれ、高校入学試験にも実技試験が導入された。中国メディア「シックス・トーン」によると、高校入学試験での体育の実技試験を今後より重視していくという。体育教育の推進は、健康面での改善のためでもあったが、一方で、甘やかされて育った子供たちに対応するため、厳格な「男らしさ」を求める声が政府から高まってきた。「シックス・トーン」の別の記事によると、2012年に上海の高校で男子生徒に男らしさを教える授業が展開されるようになり、浙江省の小学校では男女別の行動規範が作られた。そして、男らしさを教える授業は他の上海の学校にも広がっていった。女性団体などは、このように「男らしさ」を強調する教育は女性蔑視をベースにしており、時代遅れでジェンダーに関する国際的な潮流と逆行すると批判してきた。さらにこのような流れのなかで、TF Boysや鹿晗などの「小鮮肉」と呼ばれる、男性アイドルへの風当たりも強くなっている。政府の干渉により、タトゥーをしているような芸能人はテレビに出にくくなり、ピアスをつけている男性の耳には、テレビでモザイクがかかるようになった。男性芸能人アイドルもその清廉なイメージを崩すようなことはできない。
男らしさ強調による問題
深圳市の男子高校生マーク・マ(18)は、体育教育の強化は良いが、男らしさというのはよくわからないし、このような施策が男らしさを形成することはないだろうと、ニューヨーク・タイムズに語る。中学時代、多くの生徒は良い成績を取るために座学に集中し、体育の授業中にも端で宿題をやっているような傾向があったという。体育教育が強化され、進学のための評価軸に運動能力が加えられることで、もともと受験準備に忙しい中国の子供たちは、ますます忙しくなることが予想される。さらに、健康や性教育に詳しい北京師範大学の劉文利教授は、「若い男性の女性化」という表現が、ジェンダーに関する発言、認識、性的嗜好に関するいじめを助長することを懸念している。また、インクルーシブな体育教育について研究する李春暁は、このような男らしさを求める傾向は偏見を作り出すと警鐘を鳴らす。男らしさや女らしさ、身体の障害を強調することは、社会の多様性を失わせることになると述べる。なお、習近平は以前より中国を2050年までにサッカー大国にしたいと述べてきたが、今回の学校での体育教育の強化計画にも、サッカー教育が盛り込まれており、 |