乌克兰：五輪代表が棄権 政権対応を批判

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開催地ロシアの隣国ウクライナで多数の死者を出した反政府デモが平和の祭典に影を落としている。アルペンスキー回転のボグダナ・マツォツカヤ（２４）がヤヌコビッチ政権の対応を批判して、コーチの父と棄権することを決めた。２０日、ＡＰ通信が伝えた。

　ウクライナは政権側とデモ隊の大規模な衝突で１８日夜に２８人が死亡。陸上棒高跳びの金メダリストで「鳥人」と呼ばれた同国オリンピック委員会のセルゲイ・ブブカ会長がツイッターで「我が国には五輪期間中の『停戦』が必要。対話は力、暴力は弱さだ」と、平和的な解決を呼びかけたが、事態はさらに先鋭化している。

　ウクライナはソチ五輪に４４人の選手団を送り、バイアスロン女子７．５キロスプリントでビタ・セメレンコが銅を獲得。冬季五輪で２大会ぶりにメダルを手にした。母国の混乱を心配したフィギュアスケート女子のナタリア・ポポワ（２０）は「平和であってほしい。私の滑走が届いて人々を穏やかな気持ちにできたら」と願った。国際オリンピック委員会も「流血の事態が最小限にとどまり、速やかに解決することを望む」（アダムス広報部長）と懸念を示した。

　ウクライナは国を挙げて西部リボフへの２０２２年冬季五輪招致を目指している。ブブカ会長はビルクル副首相とともにソチに乗り込んで９日に記者会見。「招致は野党側も賛成している」「国を一つにする好機になる」と強調してきた。

　しかし、ウクライナ西部は伝統的に反露感情が強く、リボフは大統領退陣を求めるデモの中心拠点。多数の死者も出た状況で、招致活動は不透明になってきた。【真野森作、小坂大】