3 外国人の認知届
「日本人男性が、フィリピン人との間にできた子供を認知する場合」
(1)よくある外国人の認知 最も多いのは、日本人の男性が、フィリピン人との間にできた子供を認知するケースではないでしょうか。 通常に認知するだけでは、生まれてくる子はフィリピン国籍の子となりますが、「胎児認知」をすることにより、生まれてくる子は日本国籍も持った子となります。 日本人の子供を持つ母、という立場と、単に子供がいるフィリピン人女性という立場では、取得できるVISAの関係などから、生まれてくる子供にとっても、その母親(フィリピン人)にとっても大きな問題といえます。
(2)認知するための方法 外国人の子供を日本人が認知する場合も、日本人の子供を外国人が認知する場合も、次の3つの方法のうちのいづれかでおこなうことができるとされています。 ①子供が生まれたときの親の本国法でおこなう ②認知した時の認知者(父親)の本国法でおこなう ③認知した時の子供の本国法でおこなう ①②の場合は、子供を保護する観点から、子供の本国法で子供を保護するような条件があるときは、それも満たさないといけません。 このように書くと一体どのようにすれば良いのかわからなくなってしまいます。国によって認知するという方法は様々ですが、日本の法律での認知は比較的緩やかと言われています。そのため、認知の際には、②の方法がよく採られます。 次に、よくあるケースの「日本人の男性が、フィリピン人との間にできた子供を認知する」という場合、どのようにすれば良いかを、通常の認知と胎児認知の両方について書いていきます。 (3)日本人男性がフィリピン人を認知する(通常の認知) (2)の②の方法で認知をおこなうとすると、「父親の本国法(日本の法律)での審査+子供の本国法(フィリピンの法律)での保護条件」の2ステップとなります。 この方法だと、一般的には次の書類をそろえ、日本人男性の本籍地又は住所地に出せば良いとされます。 ・フィリピン人のパスポート(来日しているとき)
・フィリピン人の出生証明書
・フィリピン人の保護条件を満たしていることの証明書
・認知届(子が未成年なら日本人だけの署名、子が成年なら日本人とフィリピン人の署名) 認知届以外はフィリピン大使館でどのように取る事ができるか相談されるのが良いと思います。 また、そろえる書類は多くなりますが、注意点は日本人を認知するときと同じなので、注意点は「1通常の認知届」の注意1~3をご覧ください。
(4)日本人男性がフィリピン人を認知する(胎児認知) 胎児認知の場合は、まだ子供が生まれてきていないので、生まれてくる子供の代わりにフィリピン人の母親の同意が必要となってきます。 一般的には、次の書類をそろえ、フィリピン人の母親の住所地(母親が日本にいない場合は日本人男性の本籍地)に届ければ良いとされます。 ・フィリピン人母の承諾書(認知届に署名をもらう方法でも良い)
・フィリピン人母のパスポート(来日しているとき)
・フィリピン人母の出生証明書
・フィリピン人母の独身証明書
※独身証明書が、数年前まで独身であることしか証明していない場合は、フィリピン政府が認めた独身であることの宣誓書が必要
・認知届 このように書くとそろえる書類がたくさんあってげんなりしてしまいます。しかし、ここで重要なのが、書類がそろっていなくても、とにかく子供が生まれる1日でも前に、認知届だけは市役所に提出することです。 胎児認知とは、その名のとおり「胎児を認知」することです。子供が生まれてしまっては胎児とはいえません。通常の認知届になってしまいます。ですので、胎児認知をしたい場合は、一刻も早く市役所に行って、認知届に署名だけでもして出すように、ということです。書類は後日でもかまいません。市役所も子供が生まれてしまっては遅いということが分かっているので、この場合は書類がそろっていなくても、受付だけはしてもらえるはずです。 何故そこまでして胎児認知にこだわるか。通常の認知届ではダメなのか。これは冒頭でも書いたとおり、子供の国籍に密接に関係してくるからなのです。 日本の国籍法では「子供が生まれたとき、父か母が日本人なら、その子供に日本の国籍を与える」とあります。そのため、子供が生まれる前に、お父さんが日本人であると認知してもらっておかないと、日本の国籍がもらえないのです。子供が生まれてから認知では、その子供に日本の国籍は与えられません。だから、外国人の子供に日本国籍を与えたい場合は「胎児認知」なのです。
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