ある牛飼いが、牛に荷車をひかせて、田舎道を進んで行きました。ところが、途中で車輪が溝に深くはまり込み動けなくなってしまいました。頭の弱い牛飼いは、牛車の脇に立ち、ただ呆然と見ているだけでしたが、しばらくして、「あっ、そうだ。自分が崇拝しているヘラクレス様にお願いしよう。ヘラクレス様、どうか、ここに来てお助け下さい」と神頼みました。 すると、ヘラクレスが現れて、次のように語りました。 「お前の肩で車輪を支え、牛を追い立てなさい。それから、これが肝心なのだが、自分で何もしないで、神頼みなどしてはならない。今後はそのような祈りは一切無駄であることを肝に銘じなさい」 【教訓】 ただ神頼みするだけでは、問題は解決しない。まずは、自助努力! 泥棒たちがある家に忍び込み、あちらこちらを物色したが、見つけたのは雄鶏(おんどり)一羽だけだった。仕方なくその雄鶏を奪って引き揚げた。そして、彼らに殺されそうになった雄鶏は、「私は毎朝、暗いうちから人間をたたき起こして、仕事に行かせる役に立つ鳥だから、どうか逃がしてください」とお願いした。 それを聞いた泥棒は、「それだから、なおのこと殺してやる。奴らを起こすのは、俺たち泥棒にとっては邪魔なのだから」と答えた。 【教訓】 ある人に役立っても、他の人には迷惑なこともある。 |